保有する株式や投資信託などを担保に借り入れができる「証券担保ローン」。有価証券を売却せずに運用を継続しながら、いざという時の資金ニーズに対応することができます。長期運用を前提とした場合、担保に向いている有価証券として、どのようなものが考えられるでしょうか。今回は担保に設定する有価証券にフォーカスし、野村信託銀行ウェルスマネジメント・サービス部バンキング・マーケティング課シニア・スタッフの内藤菜々子が解説します。
(撮影/タナカヨシトモ(人物))
金融機関で異なる、担保にできる有価証券の種類

- 前回の「米国の富裕層はなぜ証券担保ローンを活用する? 株式や債券を売却せず資金を得るメリットとリスク」の記事では証券担保ローンを活用すれば、保有する有価証券を売却せずに必要な資金を調達できることがわかりました。では、具体的には何を担保にできるのでしょうか。
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金融機関によって担保の対象範囲は異なります。国内上場株式などに限定している金融機関もあれば、外国株式や投資信託、債券まで対応している先もあるようです。野村信託銀行の「野村Webローン」では、下の図表の通り、幅広い有価証券に対応しています。あまり知られていないかもしれませんが、ラップ口座(お客様のお考えのもとに、お客様にかわり、資産運用をする投資一任サービス)も担保対象としている点が特徴です(注)。
(注)野村Webローンの担保対象は野村證券にお預入れされている有価証券に限られます。そのため、ラップ口座で担保設定できるのは野村ファンドラップおよび野村SMA(エグゼクティブ・ラップ)に限定されます(ラップ信託は除く)。
野村Webローンの主な担保対象有価証券等の種類と担保掛目
- 日本国債、地方債、公社・公団債(政府保証債)
- 円貨建社債(円貨建外債を除き、当社所定の適格基準を満たすもの)
- 国内上場新株予約権付社債(CBなど)
- 国内公募投資信託(野村MRF等の継続投資口公社債投資信託、クローズド期間中の投資信託は除く)
- 野村ファンドラップ・野村SMA(エグゼクティブ・ラップ)
- 外国債券
- 国内上場株式、上場優先出資証券(株式累積投資を除く)
- 国内ETF、国内REIT、国内ETN
- 外国上場株式
- 外国ETF
| 担保掛目 | 有価証券等の種類 |
|---|---|
| 時価の80% |
|
| 時価の60% |
|
| 時価の50% |
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(注1)担保対象銘柄は適宜見直しを行っており、野村信託銀行の判断で個別銘柄について担保不適格とする場合があります。
(注2)外国投資信託やNISA口座にお預入れの有価証券は、銘柄の如何にかかわらず担保の対象とはなりません。
(注3)50万円以上5億円以下の範囲内でお借入極度額をご指定いただきます。お借入極度額は担保有価証券の時価の変動等により、お客様の設定された額を上限として日々変動します。
(注4)担保となる有価証券の種類や銘柄によっては、お借入極度額の上限が5,000万円となります。
(出所)野村信託銀行作成
- 担保に設定する有価証券の種類によって担保掛目が違うのですね。なぜでしょうか。
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日本国債に比べ値動きが大きい株式などの有価証券は担保掛目が低く設定されています。これは、借入額が担保評価額(時価×担保掛目)を超える事態(担保充足率100%未満)を極力回避するためです。株価の急落局面などで担保評価額が借入額を下回った場合は、一部返済や追加担保の差入れが必要となりますので、日常的に担保充足率が100%以上となるよう十分に余裕を持った借入金額や担保構成にしておくことをお勧めします。
- 担保の対象となる有価証券の種類や担保掛目についてはわかりました。その上で、どのような種類の有価証券が、どのような理由で担保として利用されているのでしょうか。
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株式を多く保有している方は「自社株のため売却できない」「今のタイミングで利益、または損失を確定したくない」などの事情から、株式を担保にされているケースが多いです。
一方で、投資信託やラップ口座を担保に選ぶ方もいます。これらは、投資対象が複数銘柄に分散され、中長期での運用を前提とする場合が多く、担保にすることで長期分散運用を続けながら、現金を調達することが可能になります。特にラップ口座の場合、契約上の最低投資金額を理由に部分的な解約が難しい場合もあり、証券担保ローンを併用することで流動性を補完することもできます。
その他にも、野村Webローンの利用者の方の中には、高配当株や外国債券等を担保に設定されている方もいらっしゃいます。株式の配当金や定期的な債券の利子を楽しみながら、柔軟に資金調達できることで多くの方に活用されています。実際のお借り入れは今すぐ必要なくても、高配当株や外国債券等を野村Webローンの担保に設定することで、いざという時に余裕をもって資金需要に対応できます。
ただし、高金利の外国債券のように、一見借入金利を大きく上回る見込みのある運用が期待できる資産を担保にすることは、売却せずに保有し続けるメリットがあり一つの選択肢ですが、その一方で証券担保ローンを活用する際、単純に貸出金利と保有資産の期待リターンを比較するだけでは不十分です。担保掛目や評価額の変動、追加担保や一部返済のリスクなども併せて検討する必要があります。
証券担保ローンの金利水準は金融機関によって異なります。野村信託銀行の証券担保ローン「野村Webローン」の最新の適用金利はこちらでご確認ください。
証券担保ローン利用者は何を担保にしているか
- 実際、証券担保ローンの利用者のうち、主にどのような種類の有価証券を担保に入れているのでしょうか。
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あくまで参考値ですが、野村信託銀行の野村Webローンの担保状況を2025年10月末時点で担保の種類別にまとめました。担保金額ベースで「国内株式」の割合が39%と最も多く、次いで「投資信託」(31%)と続きます。「ラップ口座」は1割程度を占めており、全体で3番目に多い規模です。近年、野村信託銀行ではラップ口座の担保金額・件数は増加傾向にあります。
「野村Webローン」の担保状況(担保の種類別)<2025年10月末時点>

(注1)担保対象銘柄は適宜見直しを行っており、野村信託銀行の判断で個別銘柄について担保不適格とする場合があります。
(注2)外国投資信託やNISA口座にお預入れの有価証券は、銘柄の如何にかかわらず担保の対象とはなりません。
(注3)50万円以上5億円以下の範囲内でお借入極度額をご指定いただきます。お借入極度額は担保有価証券の時価の変動等により、お客様の設定された額を上限として日々変動します。
(注4)担保となる有価証券の種類や銘柄によっては、お借入極度額の上限が5,000万円となります。
(出所)野村信託銀行作成
ラップ口座を解約せずに証券担保ローンで運用継続
- 証券担保ローンを活用し、株式の配当金や債券の利子を受け取りながら、借り入れを行うイメージはつくのですが、ラップ口座を担保にした事例が気になります。
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ラップ口座を担保に野村Webローンを活用した一例を紹介します。ここでは、ラップ口座を含め総額約6,000万円の資産を保有していた50代男性の方の事例です。この方は自宅のリフォームのために急遽、資金が必要になり、当初は保有資産の売却を考えていました。その後、ラップ口座も担保の対象になり、資金が必要な期限までに手続きが完了できることを知り、ラップ口座などを担保に約3,000万円の借入を実行され、資金ニーズに素早く対応することができました。
返済に関しても、利息も元本に組み入れられるので、毎月返済の必要がなく、相場を見ながら有価証券の売却返済や退職金を活用した返済などを、ゆっくり検討できる点も野村Webローンの魅力の一つだと考えられます。
最後のご説明となりますが、ご年齢によっては、銀行からの借り入れが難しいケースもあります。そのような場合、野村Webローンを活用し、有価証券の長期保有を継続した上で安定した収益を期待するという選択肢もあります。野村Webローンでは、お借入申込時の年齢制限(満18歳以上80歳未満)はありますが、80歳以降も借り続けることができます。金利負担はありますが、柔軟な返済方法が可能なため、ライフスタイルに合わせた返済計画を立てることができます。
今回は証券担保ローンの担保について、説明してきました。活用の仕方や担保有価証券の範囲を事前に知っておくと、資産を取り崩すか、資産運用を継続するかで悩んだ時の選択肢が増えると思います。相続資金や退職金などまとまった資金を受け取ったタイミングでこれからの運用を検討される方にも、ぜひ知っておいていただきたいです。
- 野村信託銀行
ウェルスマネジメント・サービス部 バンキング・マーケティング課 シニア・スタッフ
内藤菜々子(ないとう・ななこ) - 2011年野村證券入社。保険代理店勤務を経て、2018年より野村信託銀行にて勤務。現在はウェルスマネジメント・サービス部バンキング・マーケティング課でバンキングビジネスのマーケティング業務を担当。